僕の大好きな父の話です。 お笑い芸人チャーミング井上二郎
福岡のやばい父ちゃん「雑」
父の年賀状はいつみていて気持ち良かった。
せめて真ん中に書けばいいのに、ハガキの右はじにあけましておめでとうとミミズがはったような、一筆書きで書いてあった。
そしてその文字の他は広大な白いスペース。
日本で一番雑な年賀状ではないか。
「そげん汚なか年賀状、誰が喜ぶね」
祖母に言われたのも仕方ない
他人によく思われたい、他人に感謝してると思われたい、常識のある人と思われたい。
そういった雑念が一切ない。
空海も晩年は、この様な年賀状にいきついたのではないか。
僕は父が好きなので父に甘い。
とにかくこの年賀状が好きだった。
しかし、この雑さが大事件を起こすことになる。
父が自分の山を掃除していた時の話だ。
枯れ葉やゴミを集め、燃やし、掃除は終了する所だった。
枯れ葉やゴミがなかなか燃え終わらないので父は自分の部屋に帰り休憩した。
その間、火は燃え広がり、自分の持ち山だけでなく、他人の持ち山も巻き込む大火事となった。
まず、近所の人に言われ母が発見した。
そして父を探した。
山を探し、近所を探し、そして父のいる父の部屋を開けて驚いた。
父はのん気にテレビゲームをしていた。
しかもことあろうにボンバーマンをしといた。
山を炎上させ、テレビ画面の中も炎上させていたのだ。
ボンバーマンはアイテムを手に入れ、火力の強い爆弾を使っていたので、山に負けじと炎上していた。
焦っていた母は、山だけでなく、テレビの中も火事になったと錯覚をおこしパニック状態に陥った。
そして母が近所に謝りに行った。
父はいつでも誰にでも土下座ができたが、本当に自分が悪い時は謝れない変なプライドがあった。
それ以来父はボンバーマンを二度としなかった。
そしてこの一年後に兄に熱湯をかけられ、家出することになる。
そういえば、父が歯を磨くのを見たことがない。
まあ、これに関しては母も悪い。
続く